FM三重『ウィークエンドカフェ』2020年9月19日放送

熊野市飛鳥町小又(こまた)。
緑豊かなこの場所に今年も田んぼアートがお目見えしました。
蝶々が大きく羽を広げ、来る人達を楽しませてくれます。
今日のお客様は『飛鳥地区地域まちづくり協議会』アート担当、小畑貞文さんです。
この田んぼアートを作り始めた人です。

五年前から一人で田んぼアートを始めた

私は公務員で、定年退職してから本宮の土建会社に再就職しました。
本宮大社が神社に供えるための、変わった稲を作っていたんです。
それを分けてもらったのが始まりで、それから15年になります。
濃い紫色のお米です。
それも神社の前で作っていました。
それを作り始めたら、大阪から来た人が、また違う色のお米があるよと、赤い穂が出る米を教えてくれました。
そこで紫と赤と、普通の色の米と3色ではじめました。
田植えの時期を同じにするとそうなりますので…それが一番はじめですね。
最初のときは3色で『虹』を描きました。
一番作りやすかったので。
次からは幾何学模様で菱形を5m合わせたらまた菱形になるような形を作ったり、幾何学模様を3年ほどしました。
しかしちょっと飽きてきて、アートを募集するようになりました。

 

備をするのが大変。遠近法で下絵を作るのに時間と人がかかる

田んぼアートのデザインは、今はインターネットで募集して決めています。
個性あふれるデザイン画が集まり、毎年、様々な作品に挑戦してきました。
今年は準備作業をするのに人を集めることができない状況となり、以前のデザインを描いています。
田んぼアートは準備が大変なんです。
1m間隔でずっと杭が打ってあって、4人で線を引いて、一旦下絵を描かなきゃならないんです。
下絵を作るのが大変で、小さい方は学校の先生が生徒のために準備します。
大きい方は14〜5人いないと準備できないので。
まず絵ができたら、学校の先生にお願いして遠近法に修正します。
それからああいう形にするのですが1mごとに打った杭に対して、何m杭打って…というふうに形にして、紐で結んで、その中に植えていくことになります。
そうしないと、うまいこといかないんですよ。
一番凄かったのは、阪神のイメージキャラクター『トラッキー』をつくったこと。
帽子を9mに変えてここから写真を撮ったら、3mしかないんだ。
35m離れて10m上から見たときの遠近法にしてもらって、丁度良くなりました。

 

の色の変化、花が咲いたりとその季節ごとに楽しめる

花は緑と黄色と茶色と3色なんですが、実際絵を描くときはそれを利用しています。
色が変わるのは『ゆきあそび』という品種で、緑が白くなって、また緑に戻っていきます。
『べにあそび』という品種は茶色が赤くなって、また茶色に戻ります。
白くなったり赤くなったりする期間は2週間しかありません。
それを過ぎると戻っていくので、その間に描いた絵が1回目の見頃。
それが成長していって、穂が出て来ますがそれも何色かあります。
今度は元の絵を利用して、成長の具合で絵が変化するように、最初と最後の絵が変化するように考えられています。
天候によって稲の色が変わる時期が3〜4日違うこともあります。
穂が出る時期も違うので、そのとおりにいくとは限らないのが難しいですね。
平均の予定がいつかは、だいたいわかっていますがね。

 

年前の台風の時が一番大変だった

10年前に紀伊半島に来た台風ね。
ここは河原だったんだけど氾濫で水がどんどん流れて、木が詰まって枯れなくて、稲刈りができませんでした。
それから、蛍が出なくなってしまいました。
蛍のエサがいる小さな谷が、土砂で全部埋まってしまって、それから10年になりますが、まだ蛍はほとんど戻ってきていません。
その隣りにあるメダカ池には、人が結構来ます。
メダカと大賀蓮と睡蓮を見て帰る人はけっこう多いです。
家族連れもかなり来ます。
遠くから来る人もいます。
去年は仙台から来た人もいました。
青森県の田舎館村というところでも大きな田んぼアートをやっているらしく、その仙台の人はここでも田んぼアートがあると知っていて、熊野古道の行程の中に、一日こちらを入れてきたと言っていました。

ちょっと活性化するために来てくれないかなと、はじめまた田んぼアートですが、最初の3年ほどは一人でしていたときは、年間2〜30人来ていました。
今では1000人から多いときで3000人くらい来ますので、うれしいですね。